こんにちは。「いえぽぬZ」と申します。
十年ほど商業媒体で小説を書いたり、記事やレビューのライティングをしてきました。
今回は、小説家になるにはどんな方が向いているか、何をやっておけばいいかといった実務的なことをお話していこうと思います。
1、小説家になれる人は小さい頃から目指している?
自分の持つ世界や理想のお話を、文章で表現できる小説家というお仕事は多くの方を惹きつけるものであり、小さな頃から作家になるのを夢見ていて、それを実現させたという人も少なくありません。
一方で、様々な職業を経験してきた後で作家になってみようかと思い立ち、プロになった方も大勢います。
私にしても小説家になろうと考え始めたのは成人してからです。
漫画家やイラストレーター等の職業とは異なり、綺麗な文字を書いたり、たくさんの漢字を書けるように訓練する必要がないため、大人になってから志しても十分に間に合うのです。
むしろ、その人生経験を作品にうまく反映させて強みにすることができるかも知れません。
もっとも、スタートが遅ければ本を読み文章を書いてきた経験という面で幼少時から目指してきた方に比べて弱みがあるのは事実ですので、意識的に多くの文章を読み書きしたり、自分の経験を作品に反映させたりして差を埋めていくやり方が重要になってきます。
2、小説家にはどんな人が向いている?
やはり、たくさんの本を読み、文章を書くことを苦にしない方が向いています。
また、原稿料だけでなく多額の印税収入を得るには多くの作品を書くか長編を仕上げることが必須になってきますので、仕事として見た場合、長時間原稿に向かっていられる根気強さが求められますし、編集の方の指摘を受けてすぐに原稿を改善できる対応力も重要になってきます。
こうした要素を基盤とした上で書きたいジャンルによって異なる能力が求められます。
たとえばショートショートや短編なら、独自の発想やキレのある文体が、経済小説や歴史小説なら、資料を読み込み足を使って情報を得る取材力が、ファンタジー系であれば、架空世界をいかにリアルに書くかのセンスが重視されるといった具合です。
また、いずれのジャンルを選ぶにせよ、とにかく最後まで書くという姿勢は非常に大事です。
完成してこそ小説ははじめて「製品」になるというプロ的な視点で考えるなら、途中で断念するクセをつけてしまうのは得策ではありません。
3、小説家になるために身につけておきたいこと
小説家になるには、まず作品を書き上げる必要があり、作品を仕上げるためには指針が必要になってきます。
中には、これを書こうと思った瞬間に、ストーリーからキャラクターまですらすらと浮かんでくる方もいますが、ほとんどの場合、書くための資料を作っていくという形になります。
個人的には最低限でも登場人物を書いたシートと物語の流れを記したプロットを書いておくべきだと思います。
設定にこりすぎてしまうのは良くありませんが、迷いなく進めるためには最低限の方針が必要になってくるわけですね。
その上で小説執筆の基本的な文法を守り、さらにいくつかの技法を講じて思いついた「お話」を「小説」に整えていくことになります。
この段階でも技にこだわることなく、読みやすく面白い文章を心がけた方がいいでしょう。
ただ、「起承転結」や「序破急」といった筋立てやテンポを意識したり、文の末尾を同じ文字で終えないようにするだけでもかなりいい感じの仕上がりになってくるので、基本的なテクニックは習得しておいて損はないでしょう。
こうやっていくつか作品を仕上げるという経験を積むことで(短編の方がおススメです)、どんな作品を書くのが向いているのか、どこを改善すればいいのかが分かってくるのです。
4、小説家になるためにやった方が良いこと
プロと言っても様々ですが、共通しているのは出版社や製作会社が定めたハードルを突破しなければならないということです。
そのため、小説の技量と作品を磨いていくのは必須ですが、超えるべきハードルの高さも数も社によって様々で、現実的にはかなりの差があります。
そのため、応募できる作品ができたなら、一つの賞にこだわらずたくさんの賞やコンテストに目を向けることが大事になってきますし、結果が出ないのであれば、紙媒体からウェブへ、あるいは読者投票型から編集部持ち込みへと、作品となった際の形式自体を変えていくのも有意義でしょう。
近年は特に電子書籍市場が拡大してきており、再発売ではなく独自コンテンツが求められる土壌もあるので、電子配信は狙い目になりつつあります。
また、地力をつけるために文字数やテーマを決めて文章を書くという練習がとても有効です。既存の作品と比較することで、デビューまでの距離を測ることもできます。
小説家になりたい・目指しているあなたへ。
小説家は、大人になってから志しても十分に間に合う職業です。また、自分の適性によってジャンルを選ぶこともできますし、隙のない文章が書けなくてもベストセラー作家になることも可能です。
電子市場の拡大により、かつてなくプロになりやすい環境が整いつつある今だからこそ、簡単に諦めることなく自分の世界を文字で表現するという素晴らしい職業を目指して頂ければと思います。